うおがし銘茶うおがし銘茶

2022.05.27

個性のあるお茶は
どうやって作られているの?

商品それぞれの個性が際立つうおがし銘茶のお茶。
全国の契約農家の畑を見て仕入れをしています。
主に静岡県や鹿児島県の産地でこだわり抜いて栽培された茶葉は、産地で一次乾燥して荒茶となり、うおがし銘茶静岡工場で「火入れ」という二次乾燥を経て、より香ばしく、より味わい深いお茶になっています。
今回は、うおがし銘茶のお茶づくりに欠かせない2人のプロフェッショナルが集合。茶葉の仕入れを担当する工場長の石田と、火入れ作業を担当する原料管理部部長の佐山が、お茶づくりのこだわりを語り尽くします。

いいお茶づくりには、原料がすべて

――うおがし銘茶の「きいろ きんいろ」のお茶は、どのように作られているのですか?

石田工場長:まず重要なのは、いい茶葉をどう仕入れるかです。私たちが求めているのは、自然のままの露地栽培で育った茶葉。そこで、お茶農家さんと出会い、一から関係を築きました。現在は、契約している農家さんに「こんな茶葉を作ってほしい」と依頼して、栽培していただいています。

佐山部長:この産地にはこの品種をお願いしようというところからお茶づくりがスタートしているんですよね。どの商品も茶畑から始まっている。

石田工場長:いい商品を作るためには、やはり畑・原料がすべて。だから、農家さんとのつながりを強固にすることはとても大切です。私たちがめざしている昔ながらの「きいろ きんいろ」のお茶、「飲み飽きない」「おなかにたまらない」「食事のときは脇役になれる」お茶を、いかにブレなく農家さんに伝えられるか。勉強会などを開いてイメージを共有しながら、農家さんの個性にあわせて、この方にはこの品種、この方にはこんな形やつくり と、担当を分けています。

佐山部長:お米と同じように、お茶も同品種でも、産地によって香り・味わいが変化しますよね。

石田工場長:そうそう。そして同産地・同品種でも、茶葉の味は葉っぱの「生育」によっても変化する。
お茶の芽を摘み取った時期によって、「天下一」、「しゃん」、「にゅう」、「魚がし煎茶」など、商品ごとに茶葉を分けています。とはいっても、これはあくまでも理想のパターンで、芽を摘む前に雨が降れば、通常より茶葉が水分を含んでしまうし、雨が降ったあと気温がぐっと上昇すれば、お茶の芽が一気に成長してしまう。そうしたことを仕入れ時期に瞬時に判断し、社長や佐山くんに共有して、火入れをしてもらいます。

特集02「お茶を摘むのは1年に1度。だから、個性的なお茶になる」はこちら

火入れは「感性」。
五感を駆使して作り上げる

――火入れの工程では、どんなことにこだわっているのですか?

佐山部長:石田工場長から「これは天下一に使おう」「こちらはしゃんに」「あちらはにゅうに」と指示が届くので、それぞれの商品をイメージしながら、火入れ具合を微調整しています。頭のなかに香りや味のイメージがあっても、なかなか辿り着かないことも多々あります。

石田工場長:その年の茶葉の傾向や、火入れの状況は社長にも確認してもらいながら作っているんだよね。「もう少し香りがほしいな」「味をスッキリさせたいね」とフィードバックされたとき、「スッキリ」という言葉をどう解釈して、どう火入れの工程を変化させるか。設定温度を変えればいいわけじゃないのが、難しいよね。

佐山部長:料理と似ているかもしれませんね。お店で食べたあの味を作りたいと思って、材料も揃えたけど、再現するのは難しい。そういう感じです。香りは重要なポイントですが、鼻だけに頼っていると、疲れて嗅覚が鈍ったときにうまくいかなくなります。だから、見た目や手触り、持ったときの重さなど、すべてをいいところに持っていくことを大切にしています。

石田工場長:火入れはまさに「感性」だよね。こういう香り・飲み口にしたいということを、原料の個性から理解して、作り上げていく。

佐山部長:お茶農家さんから届いた荒茶は、水分量はどれもほぼ同じです。ただ、茶葉の状態や品種、産地、あるいは部位によって個性が大きく異なるので、それに合わせた火加減を見つけています。やればやるほどわからない“負のループ”に陥ったこともありましたが、20年ほどかけて、最近ようやく理解できるようになってきました。

石田工場長:昔は商品ごとに火入れ担当がいたんですが、今はすべての商品を佐山くんが火入れしている。味覚・嗅覚は本当にすごいものを持っていますよ。

すべての商品が、茶畑からできている

――どんなところに、お茶づくりの難しさを感じていますか?

佐山部長:私たちは原料ありきで火入れをしています。だから、新茶時期から工場のみんなで試行錯誤して、夏ごろに「こんな感じでやるとうまくいく」という感覚をつかんでも、1年ごとにリセットされる。技術の積み重ねには苦労しますね。

石田工場長:お茶農家さんにとってもそれは同じで、その年の天候に対応しながら私たちの求めるお茶を作ってもらっている。すばらしい技術を持った農家さんとの絆があるからこそ、品質の高い茶葉を仕入れられているのだと感じています。

佐山部長:うおがし銘茶は茶畑から商品ができていますからね。商品にはまる荒茶は市場にはなかなかないので、こうして作っていただけるのはありがたいことです。

石田工場長:昔はお茶農家さんごとに原料の個性がもっと豊かだったけれど、いまは農業が大型化して、全国的に茶葉の個性が薄くなっているものね。

佐山部長:そうですね。いつも飲んでくださっているお客様にはほんの少しの違いでもわかってしまいますから、お客様と話すたびにしっかりやらなきゃと気が引き締まります。

石田工場長:私たちがめざしているのは個性のあるお茶。お客様が求めるお茶を作り続けるために、畑まで行き、原料の仕入れと火入れ作業を分業しながら、ブレないお茶づくりを続けています。

力強い茶葉だからこそ作れる、香ばしいほうじ茶

――うおがし銘茶の「ほうじ茶」について教えてください。

佐山部長:茶摘みしたあとに伸びてきたお茶の芽が、ほうじ茶の原料です。緑茶と同じように、ほうじ茶も「香り」を大事にして作っています。緑茶より高い温度で、一瞬のうちに焙じることで、香りよくスッキリ飲めるように仕上げています。

石田工場長:うおがし銘茶のことをわかってくれているお茶農家さんが作った茶葉だから、うおがし銘茶らしい火入れができるんだよね。

佐山部長:そうですね。ほうじ茶は高温で焙じるので、あっという間に色が変わってしまうんです。ほんの少しのさじ加減で、まっ黒になってえぐみが出たり、香りも色も入らなかったりする。煎茶と同じくらい神経を使うし、目が離せません。ほうじ茶の製造方法は、もともとほうじ茶専門に製造していた方が廃業するにあたり、一から教えてもらって受け継いだものなんです。一般的には、煎茶が上、ほうじ茶は格下というイメージがあるかもしれませんが、私たちのほうじ茶を一度飲んでいただければ、他とは違う、香りがいいと評価いただけるものと自負しています。

――最後に、おふたりのおすすめのお茶を教えてください。

佐山部長:香りがいいほうじ茶「はいから」は、ぜひ飲んでいただきたいです。たくさんの人にこのおいしさを知ってもらえたらうれしいですね。

石田工場長:おすすめはやっぱり「にゅう」かな。かつて火入れ担当をしていたこともあって、思い入れがあります。味がいちばんのっている時期の茶葉を使った、香り・色・味がある、いちばん好きなお茶です。ぜひお試しください。

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