うおがし銘茶うおがし銘茶

2024.05.01

うおがし銘茶には、お茶づくりに欠かせない大切なパートナーたちがいます。

品質の高い茶葉の生産を通じて、
うおがし銘茶を支えるお茶農家のひとつが、静岡県の菊川の契約農家さんです。
今回は、菊川の契約農家の土井宏通さんと、石橋章子さんに、
茶葉の育成や、荒茶づくりのこだわりについて、詳しくお話を聞きました。

いい茶葉は、「土づくり」から

Q. 茶葉を育てるにあたり、牧之原台地にはどのような特徴があるのですか?


A. 土井さん:茶葉の育成において重要なのが、通気性・排水性がよく、根張りがしっかりできるような厚い土壌があり、寒暖差があることです。
ここ牧之原台地は、大昔は大井川という一級河川の川底だったこともあって、石がたくさん堆積した「礫層」という地層が形成されています。排水性がよく、標高170メートルほどで寒暖差もあり、いい茶葉ができる条件を揃えている土地ですね。
そして、牧之原台地の最大の特徴が、「日照時間が長い」こと。これにより、葉肉の厚い茶葉が育ちます。

Q. 畑づくりで大切にしていることを教えてください。


A. 土井さん:うまみのあるお茶をつくるには、「土づくり」が欠かせません。どんなに製造技術を磨いても、茶葉が持つポテンシャル以上の味は引き出せないからです。
土の良し悪しは、土の中にどれだけ微生物がいるかで決まります。私たちの茶園では、茶樹が必要なときに必要な養分を吸収できる、豊かな土壌を目指しています。5年ほど前までは化学肥料のみを使用していましたが、えぐみや雑味につながるように感じ、最近は魚カスなど自然由来の有機物が入った配合肥料を使用するようになりました。茶葉を早く摘むエリアでは、茶樹が早く吸収できるような肥料を使い、肥料の量を少し多くするなどの工夫をしています。

Q. 良質な茶葉を育てるために、茶園の管理で心がけていることはありますか?


A. 土井さん:土づくりはもちろんですが、不要な枝を刈り込んで茶樹をきれいに揃える「整枝」と、茶樹の高さを低く切り下げる「剪枝」という作業には、気を遣っています。
一番茶を摘んだあと、枝にハサミを入れる作業から、翌年の一番茶に向けた準備は始まります。どういう枝の構成にするか、どういう葉がつくようにするのかを考えながら、ハサミを入れる場所やタイミングを考えます。一度ハサミを入れたらやり直しはききませんから、緊張しますね。プレッシャーはありますが、それも楽しむようにしています。

「天下一」の香り、うまみを引き出す

Q. 製造工程では、どんなことに力を入れていますか?


A. 土井さん:やはり「蒸し」の工程にはとくにこだわっていますね。日照時間の長い牧之原では葉肉が厚い茶葉が育つので、私たちの茶園では蒸し時間を標準より2〜3倍長くする「深蒸し製法」という製法を主に採用しています。蒸す時間を長くするだけでなく、どれだけ茶の芽や茎の芯まで蒸気を通せるかが、品質や香り、味の決め手になります。蒸し時間が長すぎると、色は出ますが、香りと味がなくなってしまう。茶葉のどんなよさを出していくのか。「うおがし銘茶さんが何ていうかな?」と思い浮かべながらやっています。

Q. うおがし銘茶の茶葉作りでこだわっていることはありますか?


A. 土井さん:「きいろ きんいろ」のお茶をつくるために、うおがし銘茶さんの茶葉を蒸す機械は、中身を改造したオリジナルのセッティングにしています。私たちの茶園より茶園づくりが上手な人、お茶を揉むのが上手な人はほかにもいると思いますが、この「蒸し」の技術については、誰にも真似されない自信があります。私たちの茶園の蒸し工程の“虎の巻”を持っているのは、じつは私だけなんですよ。

石橋さん:蒸しの技術には感性やセンスが求められますから、仮に私が“虎の巻”を見たとしても、社長と同じようにできるわけではありません。
たとえば、深蒸しにすると、蒸す時間が長くなり、茶葉はより細かくなります。細かい茶葉は、味の濃さにつながることもありますが、火が入り過ぎると雑味の原因になることもあります。同じ茶園で育っていても、畑によって茶葉の香りはまったく違いますから、茶葉の状態、その日の湿度、機械の調子を見ながら、一日のあいだに設定を微調整していくんです。お茶の季節は、毎朝、茶葉が蒸し器を通った瞬間、「ああ、今日はこういう感じかぁ」と日々新鮮に感じています。


最香の「天下一」を目指す

Q. うおがし銘茶のお茶をつくるうえで、いまとくに力を入れていることはありますか?


A. 土井さん:私たちがいちばん大切にしているのは、「ゴール」をイメージしてお茶づくりをすることです。携わる人みんなが、うおがし銘茶さんのお茶を頭に思い浮かべながら作業するよう心がけています。そういう理由もあって、僕らも時折、東京のうおがし銘茶さんのお店に足を運ぶことがあるんですよ。

石橋さん:うおがし銘茶さんの茶葉の育成には、周辺のお茶農家にも力を借りています。協力してくれる農家さんとは年2回面談していて、うおがし銘茶さんのお茶を実際に飲んでもらい、うおがし銘茶さんの店舗の様子を写真で見てもらうようにしています。農家さんはみんな、自分たちが作っているお茶が銀座で売られていると知ると、とてもびっくりするんですよ。

土井さん:日本のお茶のブレンド技術は非常に高いから、農家さんたちは自分たちが作っているお茶が最終的にどんな商品になっているのか、知る機会がないんだよね。

石橋さん:そうなんです。自分たちが丹精込めて作っているお茶がどんなふうにお客様に届いているのか、意外と知らないものなんですよ。ですから、お茶を飲んで写真を見てイメージを膨らませたうえで、「このお茶を一緒に作ってほしい」と話しています。すると、農家さんもプライドや責任感がますます高まるようなんですね。最近は摘採の時期をよりこまめに相談してくれるようになり、気持ちがひとつになってきていると感じています。

土井さん:資材や管理の面も、みなさんやり方を合わせてくれるようになってきました。同じビジョンを目指して、いっしょにやりたいと思う人たちが集まってくれています。近年は、農業資材や電気代などの高騰や、お茶の作り手の高齢化も進み、お茶業界の仕組みを再構築するときが来ていると感じます。そんななかでも協力してくれるお茶農家とは常にWin-Winの関係性をつくっていきたいと思います。

Q. 最後に、今後の夢を教えてください。


A. 石橋さん:お客さんに黄色い深蒸し茶を出すと、その味わいに驚く方が多いんですよ。「透き通って金色なのに、どうしてこんなにうまみがあるの?」って。青いお茶がよいと思っている方はまだまだいるので、黄色い深蒸し茶のおいしさを伝えて、より開拓していきたいですね。うおがし銘茶さんの「いつもの味」を裏切らないようにしていきたいです。

土井さん:僕はシンプルにいうと、「お茶で遊びつくしたい」と思っています。今は緑茶・煎茶がメインではありますが、畑の広さを生かして、紅茶や烏龍茶などの発酵茶や、抹茶などを展開していくのもいいですよね。私たちの茶園には「お茶がやりたい」という意志のある仲間がいて、うおがし銘茶さんのお茶に関わる仲間たちはモチベーションが非常に高い。やりがいを持ってお茶づくりをしている仲間たちと、どこまでお茶を楽しめるのか、挑戦していきたいです。


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