うおがし銘茶うおがし銘茶

2020.02.27

お茶屋はお茶がメインと
思ってしまいがちだけど…

うおがし銘茶の商品は、ふだん使いを意識して企画・販売しています。100gの価格は800~1,000円※1。進物用や特別な日のぜいたく用ではなく、普通の毎日に飲んでいただくためのラインナップ。ふだん飲みにこだわる理由を、社長の土屋に聞いてみました。

「お茶ってそもそも脇役ですから。お茶屋をやっていると、ついついお茶をメインに考えてしまいます。でも、お茶がそれ単体で飲まれることはまずなくて、ご飯やお菓子と一緒に飲まれるのが普通でしょう? いわば基本の部分だから、そこで気に入っていただければ、お客さんの来店頻度も増えます。逆に高級品だけ売っていても、リピートにつながりづらく、商売として続いていかないですから」

出ました、基本。社員たちからすると、耳にタコができるくらいに聞く言葉です。特別なもの、応用的なものではなく、基本こそ大事。そして、日本茶の基本は食事と合わせて飲む、ふだん飲みのお茶だということです。

「だから他のお茶屋さんの動きより、日本酒やワインのものづくりや売り方から学ぶことが多いんです。それ自体が個性的な味わいを持ちながら、しっかりと食事を引き立たせもする。すごいですよね。日本茶もそうあるべきだなと思うんです」

お酒が大好きなだけなんじゃ? なんて思わないでもないですが、たしかに一理あります。では、ふだん飲みのお茶にはどんな味わいや香りが求められるのでしょうか?

苦味・渋味がふだん飲みのキー

土屋の答えは、良質な苦味と渋味。

「ペットボトルのお茶のCMなんかを観ていると、甘味を強調することが多いですよね。お茶屋さんでも、甘味をアピールするお店はよくあります。でも僕からすると、ただ甘いだけのお茶は、没個性で飲み飽きてしまうのではと思いますね。苦味や渋味があることで味が複雑になって、そのお茶ならではの特徴になります。酸味がワインの個性になるように、日本茶にとって苦味や渋味は大事な味わいです」

苦味・渋味と聞いて、ピンと来ない顔をしていると、分かりやすい例を出してくれました。

「スイカに塩を振ると、何もかけないより甘く感じるでしょう? それと同じで、苦味や渋味が適度にあるお茶はより甘く感じるし、ご飯の合間に飲むと、ご飯がより甘く感じるんです。もちろん、苦味や渋味が前に出すぎてしまうと甘味を感じるどころじゃないので、いい塩梅に調整しないといけないんですが」

なるほど、スイカに塩なら経験があります。しょっぱいものをかけて甘味が増すなんて不思議ですが、人間の味覚っておもしろいですね。

茶師の感性で荒茶をブレンド

味のバランス調整の話が出ましたが、みなさんは、市販のお茶がいくつもの茶葉のブレンドによってできていることを知っていましたか? 各農家から集まる茶葉は、荒茶と呼ばれ、味わいや香りに大きなバラつきがあります。コーヒーの豆や、ウイスキーの原酒を想像してもらうと分かりやすいかもしれません。この、単体ではバランスが悪い荒茶を、ブレンドしてバランス良く仕上げるのです。

「荒茶の時点でのバランスは、ブレンドしたお茶の品質とは必ずしも一致しません。個性が強すぎて美味しく飲めない荒茶でも、ブレンドに加えることで重要な役目を果たしてくれるものもあります。それを見極めるブレンダーが、茶師です。茶師の腕がいいと、偏った荒茶を組み合わせながらバランスのいいお茶に仕上げられるし、腕が悪いとただ重たいだけのボケた味わいのお茶に仕上がります」

うおがし銘茶のお茶のブレンドは、すべて社長である土屋本人が行っています。ブレンドするうえで大事にしているのは、どんな比率でブレンドしたかは一切記録せず、毎年毎年新しい気持ちでブレンドすることだと言います。

「例えばある年に、2種類の荒茶を2:1の割合でブレンドしたら思い通りの仕上がりになったとします。翌年、まったく同じレシピでブレンドしたら、うまくいくと思うでしょう?でも、期待した仕上がりになることは絶対にありません。荒茶は自然の産物だから、同じ産地で同じ育て方をしても、味わいや香りが毎回ちがいます。だから過去の成功体験をなぞるのではなく、そのときそのとき感性を研ぎ澄まして、一からつくりあげる力が必要なんです」

日本全国でも、人数の多くない茶師。その数は、今後さらに減っていくだろうと言われています。うおがし銘茶では、後継者を育てるべく、土屋のもとで修行を積む社員がいます。またいつか、この特集でご紹介させてください。

※1 一部特別な商品を除きます。品評会上位の本玉露など希少性の高い茶葉は、高級嗜好品として別価格帯で販売しています。

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